No.9/2005年1月11日
絵と文:香泉

北と南に別れているかつての新大陸
その中間の狭いエリアには
幾つもの小国がひしめき合っていました
地域的な例外や差異はあるものの
どの国もよく似ています
もちろん、国ごとの諸事情もあることでしょう
窓ガラスの割れた騒々しいバスも走れば
外国製の豪華なバスも走るように、です
それにしても、国境を越えた途端に一変する
あの空気の違いは何によるものなのでしょうか
無味乾燥な国境付近の景色を見回しては
いつも新鮮な驚きを感じたものです

−さて、そんな地上も
今は私の遥か下方にその姿を晒し
飛行機は南の大陸を目指しています
上空から眺めるジャングルは
海の上に敷かれた絨毯のようです
果てしなく広がっているはずの私達の地上
それは色とりどりの敷物に覆われているだけの
荒涼漠とした世界でもありました

−突然、海の色が変わりました
エメラルドのような輝きを広げて円を描くと
その明るさを内側に集めるようにまた円を描き
次第次第に明るさを増していくようです
ついには真っ白な縁取りが括られると
そこには、小さな島が嵌め込まれていました
真ん中のこんもりとした所は丘でしょうか
三角屋根の寺院がちょこんと乗っています
それは、とても美しい島でした
海が差し出してくれた指輪のようです

こんなに素敵な贈り物が用意されているのに
どうしても素直に手を伸ばせない私が
ええ、ここにいました…眩しすぎるのです

飛行機は瞬く間に美しい島をやり過ごしていき
そして間もなく、滑走路が見えてきました
さあ、私達の地上に降り立つのです (続く)

香泉
kosen.z.hitomi@gmail.com
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