No.3/2004年7月4日
絵と文:香泉

見知らぬ土地で歩き疲れたとき
人は水辺に何を見つけるのでしょうか

色鮮やかな民族衣装が眩しく映える湖畔でした
湖の周囲に七つ程の農村が点在しています
それぞれの村には異なる織りの技術があるため
農民達の衣装やその柄が村ごとに違うのです
そういえば少しづつ文化も違うと聞きました
とは言え、誰もが日に晒された褐色の肌を持ち
男も女も子供のように小さく痩せています
生まれた村や継承する物事に違いはあっても
この土地の暮らしぶりの厳しさに
それほど変わりは無いのかもしれません

村巡りをしようと乗合バスに揺られていると
一瞬、不思議なものが目に入りました
鳥小屋?…そう高くもない木の枝から枝へ
幾つもくくり付けられている小さく粗末な家々
その中に畳み込まれている黒ずんだ塊
干からびた赤ん坊のような…あれは一体!

猛烈な砂埃と眼下で輝く湖をよそに
バスは狭くでこぼこの山道を走っていきます
そして、閑散とした広場で停まりました

昼日中の暑さの為か人影もなく
砂利道の白さだけが際立っています
村を散策する気にはとてもなれず
広場前の簡素な建物に入ることにしました
にわか造りのような大きな小屋…寺院でした

夥しい数の融けかけた蝋燭と萎れかけた花々
これらの匂いを見下ろすように神様がいました
布教の為に肌色を黒く塗り変えられた時のまま
十字の板にずっとくくり付けられているのです
それは、この辺り一帯に暮らす農民達と同じ
小さくて貧しい姿でした

湖畔に戻ると既に日は落ち
赤々とした満月が湖面に揺れていました(続く)

香泉
kosen.z.hitomi@gmail.com
インデックス
No.1〈2004年5月3日〉
No.2〈2004年6月4日〉
No.3〈2004年7月4日〉
No.4〈2004年8月4日〉
No.5〈2004年9月5日〉
No.6〈2004年10月4日〉
No.7〈2004年11月5日〉
No.8〈2004年12月4日〉
No.9〈2005年1月11日〉
No.10〈2005年2月14日〉
No.11〈2005年3月14日〉
No.12〈2005年4月14日〉
No.13〈2005年5月14日〉
No.14〈2005年6月14日〉
No.15〈2005年7月14日〉
No.16〈2005年8月15日〉
No.17〈2005年9月16日〉
No.18〈2005年10月16日〉
No.19〈2005年11月16日〉
No.20〈2005年12月15日〉
No.21〈2006年1月19日〉
No.22〈2006年2月20日〉
No.23〈2006年3月21日〉
No.24〈2006年4月24日〉
No.25〈2006年5月25日〉
No.26〈2006年6月29日〉
No.27〈2006年7月31日〉
No.28〈2006年9月4日〉
No.29〈2006年10月4日〉
No.30〈2006年11月7日〉
No.31〈2006年12月8日〉
No.32〈2007年1月11日〉
No.33〈2007年2月15日〉
No.34〈2007年3月19日〉
No.35〈2007年4月20日〉
No.36〈2007年5月28日〉
No.37〈2007年6月28日〉
No.38〈2007年8月2日〉
No.39〈2007年9月5日〉
No.40〈2007年10月11日〉
No.41〈2007年11月30日〉
No.42〈2008年1月17日〉
No.43〈2008年2月21日〉
No.44〈2008年3月21日〉
No.45〈2008年4月23日〉
No.46〈2008年5月24日〉
No.47〈2008年7月16日〉

トップページに戻る。