No.2/2004年6月4日
絵と文:香泉

彼女は戦う部族の娘だった
小柄だが樽のようにしっかりとした胴体には
童顔な顔や細い手足とは不釣り合いの
放漫な胸を湛えていた

いくつ?−16歳
結婚してるの?−まだ

とてもそうは見えない
ジャングルの中で木々をかき分け
きびきびと進む彼女の手足は艶やかだったが
四角く締まった腰からは
間違いなく成熟したメスの匂いを発していた

古代壁画の描かれた洞窟まで往復4時間
ジャングルに不慣れな外国人旅行者を案内し
あるいは薄のろな都会人達をスタスタ歩かせる
これが彼女の仕事だった

彼女にしてみたら
剥げて消えかけた壁画なんぞを見るために
どことも知れない外国からやって来て
何時間も泥濘んだ道と格闘する金持ちの酔狂者
所詮は自分達部族とは相いれないよそ者なのだ
高価な靴には分厚い泥が纏わり付いて
歩けば歩くほど重たく不自由になっていく
なんて間抜けな生き物達!

でも、良い仕事よ
今日のチップはいくらになるかしら?

午後遅くようやく村に戻った私は
泥と歩きに疲れた体を休めながら
鬱蒼と揺れる緑の群れを眺めていた
ふと、視界の中心に現れた青年の姿
ヒタヒタと近づいて来る彼の素足
白い布を一枚纏っただけの誇り高き男
私の中にあの娘の眼差しが被さってくる

「抱いて!」…音にならない叫びだった (続く)

香泉
kosen.z.hitomi@gmail.com
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