No.13/2005年5月14日
絵と文:香泉

家族と共に寺院を訪れ静かに過ごす日曜日
一人旅をしている者には静かすぎる一日でした
宿の主人がそんな私を気遣ってのことなのか
巡礼の山に行ってみるよう勧めてくれました

細い山道には延々と人の列が続いています
ここは願いが叶う山としても名高かったのです
観光気分の家族連れから真剣な面持ちの男女と
皆それぞれの思いで頂上を目指していますが
幸せを望む気持ちはひとつなのかもしれません
空が近く感じ始める頃、膨らみを増した行列は
前方の真っ白い寺院に向かう群れとなり、ただ
じりじりと動くだけの塊と化していました
私達人間のありったけを詰め込んだ熱気のなか
神様はこんなにも多くの休みない願いを
一体どうした訳で聞いていられるのでしょうか
私は、人いきれにうんざりしていました

さて、寺院の裏手に回れば山は静かで
遊んでいる少年達の他に人気はありません
でもあれは街で物乞いをしていた浮浪児達です
人の目が無ければ強盗もすると聞いていますが
神様のいる山で物騒な真似をするでしょうか?
けれど神様はいつだって目に見えないのです

そうして少年達の口元に薄笑いが表れたとき
私がとっさに振り返ったのは背後の寺院でした

はて、私は夢でも見ているのでしょうか!?
こちらに走って来る小さな女の子がひとり現れ
するとそれを追っているのかパパとママが現れ
まるで賑やかに追い駆けっこに興じる天使達!
そうです、思いがけない親子連れの出現でした
無邪気な女の子は私の所までやって来ると
ちょうど追いついたパパの腕に抱き抱えられ
得意気な笑顔を私に向けています
後から追いついたママは息を弾ませ
女の子の汗で湿った髪を撫でてあげています
少年達はもういません
ここは神様のいる山だから… (続く)

香泉
kosen.z.hitomi@gmail.com
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