No.12/2005年4月14日
絵と文:香泉

堅牢で美しい建物が並ぶ首都でした
ここで起きた富裕層と貧民層との激しい戦闘も
今となっては過去の出来事なのかもしれません
バスやタクシーが優雅に流れていきます…

ふと、私の横を何かが擦り抜けたようでした
振り返って見ると、15歳位の少年です
灰色の毛布を頭から引っ被り
痩せて汚れた素足が冷たそうです
あらためて広い歩道を見回してみれば
あちらこちらに灰色の塊がうずくまっています
彼らは路上で暮らす孤児達でした
きちんとした身なりで固めた大人達の間を
ゆらゆらと歩く灰色の少年達
街行く人々の様子を見る限り
薄汚い浮浪児などどこにもいないかのようです
彼らは、あたかも貧民ゲリラの亡霊でした

バス停の横では、浮浪児から施しをせがまれ
怖い顔をしている子供連れの紳士がいます
彼は犬でも追い払うように傘を振り上げ
少年の方は動じるふうでもなく、ただ
ふらついた足で紳士から離れて行くだけでした
すると、誰かが脇から少年を呼び止めています
白い前掛け姿のホットドック売りです
男はパンの入った袋を少年に差し出すと
追い払うように腕を振って見せていましたが
それは、どこか温かみのある身振りでした

 「富める者は財産を守り
  貧しき者はパンを分ける…違うかね?」

一体誰だろうと辺りを見回してみると
その声の主は私のすぐ横、地面に近いところで
台車の上にぺたんと座っている不具者でした
いつからここにいたのでしょうか?
乳児のような貧弱な両足であぐらを組み
いたずらっぽく片目を瞑ってみせています
富める者と貧しき者…自分はどちらに入るのか
私は戸惑いを覚えていました  (続く)

香泉
kosen.z.hitomi@gmail.com
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