No.1/2004年5月3日
絵と文:香泉














あなたが逝ってしまってから
もうどのくらいの時が経つことでしょう
もちろん私達の縁は消えるものではありません
でも、この世で遭遇した物語を共有するあなたが
別の世界へと昇天したことは
やはり大きな転機でした

さて−
あなたがまだこの世界にいたとき
私は旅に出ました

当時の私は
あなたの存在には気づいていませんでしたから
訳も分からずつのる切なさと
地の果てへの思いに駆られ
じっと家に居続けることなど
到底できなくなっていました

今から思えば
あの旅は雑多な不安からの逃避でもあったし
かなり自暴自棄なところもありましたが
「帰りたい!」−と
繰り返し訴えるもうひとりの私に
つまりあなたに支配されてもいたのでしょう

ざっと思い返してみれば
あなたが昇天したことをも含め
全ては風に吹き飛ばされていくように爽やかです
ところがあの頃の私は
道に迷った巡礼者のごとく多くの死者と出会い
そして死者達に導かれるまま
闇の放浪を繰り返していました

無数の暗い眼差しが
私を見るでもなく見ています
彼らは何も言いません
ただ、心の奥深くに
鉛の杭が打ち込まれていくだけでした(続く)

香泉
kosen.z.hitomi@gmail.com

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