「もっとゆっくり走ろうか、おばあちゃん」
「わたしは大丈夫。それよりおじいちゃん、あなたこそスタミナは大丈夫ですか」
「心配しなさんな。まだまだわしの脚も心臓も、若いときのままさ」
「とかなんとか言って、さっきから息が切れてますよ」




「しかし、思えば二人で長い人生、細くて曲がりくねった道を走ってきたもんだなあ」
「あなたは家族のため、どんなときもこつこつと休まずに、本当にえらかったわ」
「それも、お前が後ろから黙ってついてきてくれたお陰だよ」




「でも、まだまだ老け込むのは早いわね、おじいちゃん」
「そうだよ。子供たちも孫ももう大きくなったし、これからは二人で、残りの人生をおおいに楽しまなくっちゃあ」
「わたしはどこまでも、あなたの後をついて行きますよ」
「二人で走れば人生は楽しい、と言うことだね。ところでおばあちゃん、あそこの自動販売機でひと休みして、ウーロン茶でも飲まないかい」
「いいですわね。でもわたし、今日はお金を持ってませんよ」
「えっ、わしもだよ」